【書評】お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」

こんにちは。totです。

 

お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」という書籍を読んだのでその書評を書きたいと思います。

 

 

お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」

 

 KADOKAWAから出版されているこちらの書籍ですが、著者の大村大次郎さんは元国税調査官で法人税担当調査官だったという異色の(?)経歴の持ち主。企業のお金の流れを見てきた大村氏だからこそわかるお金の動きを歴史的観点から見ている。

お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」

お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」

 

 

 

お金が流通したせいでローマ字からアラビア数字が使われるようになった?

 

ローマ数字は、数が大きくなってくると、「Ⅹ」や「Ⅰ」が複雑に表記されて、間違いが起きやすい。そのため、ローマ数字では、金銭の記録には限界があった

 

 

お金(=通貨)がまだ流通しない時代には、大きな数値を扱うことも少なかったため(基本的には物々交換のため、たくさんのものを交換することもそれほどなかった)、ローマ字で事足りていたが、お金(=通貨)が流通し始めると、扱う数値も徐々に大きくなっていく。そうすると、ローマ字表記のXやIといった数値の組み合わせが読みづらく、間違いも多発し始める。

そこで、アラビア数字の1,2,3…という文字を使い始めたのだという。お金の流通量が世界共通で使われる数字に影響していたのですね。

 

 

冒険家による航海は今で言うベンチャー企業投資(株式投資)のようなものだった?

 

冒険商人たちの航海は、一航海ごとに事業化された。出資者を募り、船舶、船員、積み荷を準備する。その航海が成功した暁には、出資者に配当金を払うのである。

 

新大陸の発見や海賊活動などは、新たな資源発見や奴隷の確保など、各国の経済発展に大きな恩恵を果たしてきたのであるが、この冒険商人たちの活動は、その活動への応援者(=投資家)に支えられていたのである。

すなわち、冒険商人たちは、自分たちがどこに行って何をしてくるかを事前に周囲に告知をし、それに対して出資してもらう。その出資金を元手に冒険に出航し、その先で大きな富を得てきたら、帰還後その出資比率に併せて応援者(=出資者)に対して富を分配するのである。

いわば、ベンチャー企業がベンチャーキャピタルから出資を受けて、上場ないしは、バイアウトしたらその富を返還してもらえる、という企業投資の仕組みのようになっていたというのである。

 

 

 

技術発展と資源保持が世界の勢力図を変える? 

 

第一次世界大戦は、世界で最初の「石油を食う戦争」だったのである。言い方を換えれば、第一次大戦というのは、エネルギー革命をもたらした戦争でもあった

 (…略…)

世界のエネルギー源が、石炭から石油に変わったとなると、「石油を多く持っている者」が強く、豊かになる。

 (…略…)

第一次大戦から第二次大戦にかけて、アメリカが一気に超大国の座に上り詰めたのは、「石油大国」だったことも、要因の一つだったのである。

 

第一次世界大戦まで、世界の資源の中心は石炭だった。石炭を多くもつイギリスはそれまで、戦争においてもその力を保持していたが、第一次世界大戦によって、車や飛行機といった当時の技術発展によって、戦争に必要な資源は石炭から石油に変わっていった。

すると石油を持たないイギリスよりも豊富な油田を持っていたアメリカの経済が潤うことになった。

このように、どういった資源を持っていたのかが当時は国の力をある程度表していたのである。

 

 

これまでの歴史書は、歴史を時系列的に見ていくものが多かったが、この本に関しては、”お金”という観点から歴史を紐解いているので、今までとは違った視点で世界史を学ぶことができる。

歴史に興味がない人でも、興味をもって読むことができるのではないだろうか?

強いて難点を言うならば、時代が多少前後する事があるので、周辺の状況等を把握するのが結構大変だったりする。