会計&ファイナンス(貸借対照表 / 損益計算書 / キャッシュフロー計算書)をカンタンに理解するための基礎知識

こんにちは。totです。

 

週刊ダイヤモンド2017年6/10号は「週刊ダイヤモンド 2017年 6/10 号 [雑誌] (まるごと一冊 会計&ファイナンス)」特集で、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書のいわゆる財務3表の基本的な見方についての特集がされていました。

 

週刊ダイヤモンド 2017年 6/10 号 [雑誌] (まるごと一冊 会計&ファイナンス)

週刊ダイヤモンド 2017年 6/10 号 [雑誌] (まるごと一冊 会計&ファイナンス)

 

 

 

 

 財務3表の基本的理解

 

損益計算書(Profit and Loss statement)

 損益計算書は売上から人件費などの費用を引いて、1年間でどれだけもうかったか損したかをあらわす表である。

 

貸借対照表(Balance Sheet)

どうやってお金を集めて何に使ったのかを決算日時点の状況をあらわす表

 

キャッシュフロー計算書(Cash Flow)

1年間でキャッシュ(現金)残高がどれだけ増えたか減ったかをあらわす表

 

 

損益計算書の見るべきポイント

損益計算書は大きく5つの利益項目で構成されている。正確に理解することも重要であるが、まずは大事な5つの項目を理解し、全体像としてどのようにその企業が売上を上げているのかを見てみる。

気になった点があれば、前年との比較や同業他社と比較した際の違いなどを見ることによって、その企業の特徴が浮き彫りになってくる。

 

では、5つの利益項目について見ていくことにしましょう。

 

①売上総利益 

売上総利益は一般的に粗利とも言われる項目で、売上高から売上原価を引いた額を表す。売上を構成する原料となるものの費用をひいたものである。

例えば、この段階でマイナスになっているということは、ビジネス上成立しないビジネスモデルであるということがわかる(もちろん、取扱高が増えるに従って、原価が下がり今後プラスに転じるということが見込めるのであれば、その限りではない)

 

②営業利益

上記売上総利益から 販売費および一般管理費(販管費)を差し引いたものが営業利益である。この販管費は、業種によっても異なり、人件費を販管費に入れる業種もあれば、原価に入れる場合もある。

また、借りている事務所費用や、マーケティングなどの一貫で利用した広告宣伝費、移動のために用いた交通費なども販管費に含まれる。

 

③経常利益

経常利益は、上記の営業利益から、本業以外の収益や損失を差し引いたものである。例えば、余っている現金を銀行に預けた際の利息や株式の配当金、不動産収入などを含めたものが経常利益となる。

経常利益は一般的に”けいつね”と呼ばれたりもする。

 

④税引前当期利益

上記経常利益からさらに一時的な損益を含んだものが税引前当期利益である。例えば、子会社の売却や不動産の売却など、定常的ではないものがこの項目に含まれる。

 

⑤当期純利益

税引前当期利益を元に法人税や事業税などの税金を差し引いたものが当期純利益となる。よくテレビや雑誌などで黒字・赤字と表されるのは、この当期純利益がプラスなのか、マイナスなのかによって判断されることが多い。

 

 

 

貸借対照表で見るべきポイント

よく間違えられがちなのが、貸借対照表がバランスシートと呼ばれるのは、左右の箱が必ず一致する(同じ大きさになる)という意味でバランスシートと呼ばれていると思われる方がいるが、それは間違いである。

この文脈でのバランスとは”残高”を意味している。すなわち、企業の持っている財産の残高を表しているためにバランスシートと呼ばれるのである。

 

その貸借対照表を構成するのは以下の3つの箱となる。

 

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この資産・負債・純資産の3つの意味合いについて見ていこう。

 

①資産の部

資産とは、企業が集めてきたお金が何にどのくらい投資されているかが記されている。具体的には預金や有価証券、工場や設備といった会社が保持している資産となる。

 

②負債の部

負債は、他人から集めたお金である他人資本が記されている。この部分に乗っているお金については、いつかは返さなければいけないお金となる。 

 

③純資産の部

 純資産の部は負債とは逆で返さなくて良いお金である自己資本が記されている。株主から集めた資本金や、損益計算書の最後の部分にあった当期純利益が「利益剰余金」として積み上げられている。

 

 

 

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キャッシュフロー計算書で見るべきポイント

キャッシュフロー計算書は 、2000年から上場企業での表示が義務付けられた比較的新しい表であるが、企業の1年間での現金の動きを見ることができるため、より企業活動の実態を反映しやすい。

例えば、損益計算書では、売掛金や買掛金など、実際にはお金が動いていないが、売上や原価として計上しなければならないものが記載されている。

さらに、設備などの大きな資金を必要とするものについては、減価償却費という項目が用いられるため、実際に大きな資金移動があったとしても損益計算書には表れてこない。

さらに、貸借対照表では期末時点での状態を表すため、例えば、借入金があって、その借入金を返済して、同じ金額同じ期の中で借入金が発生した場合、どちらも同じ金額のため、その内容を区別することができない

 

こうした損益計算書は貸借対照表のマイナス面をカバーしてくれるのがキャッシュフロー計算書である。キャッシュフロー計算書は大きく分けて3つのポイントで整理されている。その3つについて見ていくことにしよう。

 

①営業活動によるキャッシュフロー

この営業活動によるキャッシュフローは、本業によってどれだけ現金が増減したかをあらわしている。ここが数年にわたってマイナスになっている場合、この企業はビジネスモデルとしてうまくいっていないと判断しても良いかもしれない。

 

②投資活動によるキャッシュフロー

投資で現金がどれだけ増減したかをあらわす。マイナスの場合は、積極的に何かに投資していると考えられ、プラスの場合は何かを現金化したあるいは、有価証券などの収益で儲けていると考えられる。

なお、営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを引いたものがフリーキャッシュフローと呼ばれ、本業での稼ぎと投資のバランスがよく、経営上は良いとみられる傾向にある。

 

営業CF ー 投資CF=フリーCF

 

③財務活動によるキャッシュフロー

借金や返済で現金がどれだけ増減したかをあらわす。将来的な事業拡大を見込んで、借り入れを行ったり、第三者割当増資を行ったり、または配当金の支払いなど、”資金調達”の意味合いで現金が動いた際にはこの中で計算される。

投資活動のよりキャッシュフローは、プラス、マイナスだけで良し悪しを判断するのは非常に難しい。プラスであれば積極的に資金調達を行っていると考えることもできるが一方で、お金が苦しくて必死に資金調達を行っているとも考えることができる。

 

 

 

さいごに

損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書、いずれもそれぞれ特徴を持った表であり、見るべきポイントが異なってくる。さらに、その年だけで全てを判断することが難しかったり、業種やビジネスモデルによってもそれぞれの解釈の仕方が難しかったりすることもある。

したがって、全体像の把握や、仮説の構築として役立つことは大いにあるだろうが、1社の1年だけの表のみで全てを判断することは難しいかもしれない。

経年で比較する、同業種の競合他社と比較するといった事をすることによって、よりその企業のビジネスモデルの仕組みや特徴が見えてくると言えるでしょう。